中国共産党中央組織部長に異例の人事、宣伝部長とともに「知日派」ライン形成

PERSONALS【人事情報】

執筆者:城山英巳 2025年4月9日
タグ: 中国 習近平 日本
エリア: アジア
石泰峰氏(右)は中央党校副校長時代の2005年11月に「中国青年指導幹部訪日団」団長として来日している[左は王滬寧全国政治協商会議主席=2025年3月8日、中国・北京](C)REUTERS/Tingshu Wang
新たに石泰峰氏が就く組織部長は人事を握る。宣伝部長とともに党運営の「車の両輪」とも言える要のポストで、最高指導部・政治局常務委員会入りの登竜門と位置付けられる。この石氏と宣伝部長の李書磊氏は、実は知られざる知日派としての面を持つ。習近平国家主席の中央党校校長時代に二人はともに副校長を務め、「福建閥」「浙江閥」とは別のブレーン人脈として注目される。

 中国の習近平体制で、党中央統一戦線工作部長と党中央組織部長の役職を入れ替えるという、過去に例のない人事が実施された。4月2日に国営新華社通信が伝えた。

 統一戦線工作部長から組織部長に替わるのは石泰峰(68)氏、組織部長だった李幹傑(60)氏が統一戦線工作部長に立場を変えた。二人ともトップ24に当たる党中央政治局委員だが、両ポストのうち強大な権限を持つのは、人事を握る組織部長だ。以前なら「定年」とされた68歳で新たに党要職に就いた石泰峰氏は習近平国家主席にとって、余人をもって替え難い特別な側近であることが示された形だ。

 共産党中央の中で、組織部長と宣伝部長(イデオロギー・思想やメディアを統括)は、党運営の「車の両輪」とも言える要のポストであり、最高指導部・政治局常務委員会入りの登竜門と位置付けられる。

 この石泰峰氏と、宣伝部長の李書磊氏(61)は実は、日本で研修を受け、日本の先進的な制度や政策、あるいは失敗の教訓を学んだことがある「知日派」という面を持っていることはほとんど知られていない。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
城山英巳(しろやまひでみ) 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。1969年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、時事通信社に入社。中国総局(北京)特派員として中国での現地取材は十年に及ぶ。2020年に早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了、博士(社会科学)。2010年に『中国共産党「天皇工作」秘録』(文春新書)でアジア・太平洋賞特別賞、2014年に中国外交文書を使った戦後日中関係に関する調査報道のスクープでボーン・上田記念国際記者賞を受賞。著書に『中国臓器市場』(新潮社)、『中国 消し去られた記録』(白水社)、『マオとミカド』(同)、『天安門ファイル-極秘記録から読み解く日本外交の「失敗」』(中央公論新社)、『日中百年戦争』(文春新書)などがある。
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