中東―危機の震源を読む (61)

オバマの中東外交―その言葉の「力」と「限界」

執筆者:池内恵 2010年1月号
エリア: 中東 北米

 ワシントン滞在の終盤に入ったが、所用により一時日本に戻った。ワシントンを発つ直前に、ウッドロー・ウィルソン・センターで研究成果の一部発表を行なった。十月はじめにワシントンで調査を始めたころは、「オバマ政権の中東政策」という研究課題を示すと、「評価するには時期尚早」という反応が多かった。しかし十二月半ばになって、近辺の大学・研究機関や政策シンクタンクで、オバマ政権の中東政策を検証する趣旨のシンポジウムや講演が次々に開催されるようになっている。 十二月一日にオバマ大統領がウエストポイント陸軍士官学校で講演し、アフガニスタンへの増派を含む新戦略を発表したことが大きな区切りとなり、中東政策や外交政策全体について、オバマ政権の初年度を評価する機運が高まっている。

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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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