第百五十一通常国会が召集された一月三十一日午後、新世紀初の国会の幕開けを飾る森喜朗首相の施政方針演説が衆参両院本会議で行われた。 昨年四月、自由党の連立政権離脱という政局激動の最中に脳梗塞で倒れた故小渕恵三前首相の後を継ぎ、急場凌ぎのリリーフ投手としてマウンドに送り出されてから十カ月。相次ぐ失言で「首相の資質」を問われ、政策面でも「丸投げ」とリーダーシップの欠如を批判され、まさにボロボロになりながら辿り着いた「二十一世紀最初の日本国首相」の座。しかし、首相がそうした感慨に浸れたのは冒頭の三十秒間だけだった。

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