「イラク情勢」をより深く理解するための「池内恵さん」バックナンバー

執筆者:フォーサイト編集部 2014年6月16日

 先週末6月13日と昨日15日に、イラク情勢に関する池内恵さんの記事「『イラクとシャームのイスラーム国家(ISIS)』はイラク国家を崩壊させるか」と「イラク内戦に介入するイランが米国に囁く『協力』」を、「中東の部屋」に緊急アップロードしました。イラク北部モースルを掌握したISISの勢いは止まらず、首都バグダードに迫ろうという勢い。米国がかろうじて確保した「イラクでの成果」は台無しになり、中東の国境再編という「パンドラの箱」が開きかねない重大な事態と言えます。そしてイランは米国に協力を持ちかけ、イラクに勢力圏を築こうとしています。

 この問題をより深く理解するために、池内さんにこれまでご執筆頂いたバックナンバーを、いくつかご紹介します。

中東―危機の震源を読む(12)イラクのどこに希望を見いだすのか『新国家』成立を左右する『キルクーク問題』の行方」(2005年12月):イラクの新憲法案が2005年10月に国民投票で承認され政治制度が定まりましたが、スンニ派は連邦制の導入によってシーア派が事実上の独立国家を作ることに強い不安を持ち、最大の受益者であったクルド勢力にしてもキルクーク問題では不満を残しており、安定への脅威となる多くの火種がこの時点ですでに存在していました。

シリアのアル=カーイダ系組織の不穏な動向」(2013年4月12日):ISISの前身である「イラクのイスラーム国家」は、昨年4月にアル=カーイダとの共鳴が知られるシリアのヌスラ戦線と合同してISISを結成すると宣言しましたが、ヌスラ戦線は「イラクのイスラーム国家」との合同を否定しました。

シリアの地場のイスラーム系諸民兵集団が連合組織を結成」(2013年11月23日):シリアの地場のイスラーム系諸民兵集団が昨年秋に連合組織を結成しましたが、ヌスラ戦線とISISは加わっていませんでした。アル=カーイダ中枢とISIS、ヌスラ戦線、地場のイスラーム系集団、自由シリア軍などの立ち位置・関係がよくわかります。

「シリア問題を『対テロ戦争』にすり替えようと試みるアサド政権」(2014年1月23日):アサド政権が2011年暮れに釈放したアル=カーイダの指導者スーリーの理論を紹介。ISISはアル=カーイダ中枢とは距離がありますが、その行動は中枢の理論に則っています。

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