“資源の元栓”を押さえたカザフスタンの大いなる野望

豊富なエネルギー資源を狙って米欧中露そして日本の「カザフ詣で」が続く。“要衝”にあって世界の資源戦略を左右しうるいま、ナザルバエフ大統領は何を思うのか――[モスクワ発]「カザフスタンを制した者がユーラシアと世界を制する」――。英国の地政学の大家、マッキンダー(一八六一―一九四七年)の地政学論を地で行くかのように、ユーラシア大陸の中枢に位置し、エネルギーや戦略資源の豊富なカザフが、二十一世紀の大国間グレートゲームの争点になろうとしている。 マッキンダーによれば、人類の歴史は「海洋国家」と「陸上国家」の闘争の歴史であり、いずれ海洋国家が衰退し、陸上国家が優勢になる。ユーラシア大陸内部で海洋国の軍艦が遡行できない地域は大陸国家の聖域であり、この「ハートランド」を制した国が覇権を握るという。だとすれば、カザフこそハートランドかもしれない。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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