気がつけば、自分より図体のデカい総合金融グループがいくつも生まれる可能性が。あわてて伴侶を探そうにも、選択肢はごく限られて――。 三年の長期にわたり金融庁長官を務め、七月十一日に顧問へと退いた五味廣文氏には、長官在任中に果たせなかった構想があった。証券業界の再編。五味氏は「銀行と証券会社の統合を進め、欧米の金融機関に対する競争力を強化すべきだと考えていた」(金融庁幹部)という。 これまで日本の金融行政は、顧客に対する優越的な地位の乱用やグループ内での利益相反を防ぐため、銀行と証券の兼業規制を厳格に適用してきた。しかし、欧米では金融コングロマリット(銀行や証券、保険など業態が異なる金融機関で作る複合企業体)がグループ内で顧客を囲い込むスタイルが定着している。特に投資銀行業務も手がける証券分野は重要な収益源だ。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン