饗宴外交の舞台裏 (129)

中国が力こぶを入れた「歓迎大昼食会」の全貌

執筆者:西川恵 2008年10月号
エリア: アジア

 五輪参加以来最多の金メダルを獲得した北京五輪で、中国は、チベット騒乱などで守勢にあった対外関係を転換することにも力を注いだ。五輪開会式出席のために来訪した八十カ国を超える外国の首脳を、胡錦濤国家主席以下、政府と共産党の首脳挙げてもてなした。 その封切りは五輪開会式当日の八月八日昼、人民大会堂で催された胡主席夫妻による歓迎大昼食会である。八十カ国以上の国の王族、大統領、首相、その随員と中国側出席者を含めてざっと百七十人。「建国以来、最高格式かつ最大規模の大昼食会」と中国紙は形容した。 大ホールには二十五人から二十八人掛けの巨大な丸テーブルが九卓並べられ、各テーブルに中国共産党の政治局常務委員がホストとして就いた。九卓揃えたのは、胡錦濤総書記以下、政治局常務委員が九人いるからだ。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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