中東―危機の震源を読む
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ソマリア沖海賊問題へのアラブ諸国の複雑な感情
ソマリアとイエメンの沖合中心に活発化した海賊が、国際政治の焦点となっている。六月の国連安保理決議一八一六に基づきインド、ロシア、南アフリカ共和国、アメリカ、NATO(北大西洋条約機構)などの艦船が派遣され、アデン湾やソマリア沖での警戒活動に当たる。EU(欧州連合)も、初の海軍共同作戦を開始した。(13頁に関連地図) では、中東諸国はどのように対応しているのだろうか。中東諸国にとっても、この問題は重大な関心事のはずである。スエズ運河の通航料はエジプトの主要な外貨獲得源である。紅海の出口が海賊の多発地帯となっており、危険を避けて南アの喜望峰回りにルート変更する動きは国家財政への打撃となる。

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