後継体制作りが進められてきた北朝鮮で、七月以降、幹部がこの問題を封印し始めた。一体何があったのか。「現時点で後継者問題は論議されていない」 北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長は、九月十日に共同通信との会見でそう語った。金正日総書記に次ぐ政治序列第二位の人物の発言は、北の内部で大きな変化があったことを示している。 今年に入ってから、北朝鮮は金総書記の三男・正雲氏への権力継承の地ならしを進めてきた。六月十日付の労働新聞は金総書記が党での活動を開始したときは「二十代の若さだった」と強調する政治論文を載せた。二十二日付、二十三日付にも後継問題を示唆する論評が掲載され、二十七日付では「世代が何百回代わろうと変化することがないのが白頭山の血統だ」などと「世襲」の正統性が強調された。

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