饗宴外交の舞台裏 (32)

晩餐会の演出だけは一流だった沖縄サミット

執筆者:西川恵 2000年8月号
エリア: アジア

 沖縄サミット(主要国首脳会議)二日目の二十二日夜、首里城で森首相主催の晩餐会が開かれた。当初は夫人同伴の予定だったが、同行した夫人が少なく、首脳九人だけの宴となった。 過去三回の東京サミットの晩餐会は会場のホテル任せだった。しかし今回は、料理、ワイン、テーブルコーディネーションなど、各分野の第一人者が集められ、これまでとは違う晩餐会の演出に知恵が絞られたのである。 そもそもは昨秋、小渕首相(当時)が、親しい劇団四季代表の浅利慶太氏に晩餐会の演出を頼んだことに始まる。同氏は、劇団取締役で音楽評論家の安倍寧氏に具体化を指示。安倍氏はその幅広い人脈を駆使して、それぞれの分野の第一人者を集めた。料理は辻調理師専門学校理事長の辻芳樹氏、飲物はソムリエの田崎真也氏。メニュー装丁はデザイナーの麹谷宏氏。テーブルコーディネーションは木村ふみさん。給仕、ソムリエの衣装はデザイナーのコシノジュンコさんが製作した。

カテゴリ: 軍事・防衛
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top