朴槿恵大統領の「内憂」――「シャットダウン」「福祉」「国情院」

執筆者:平井久志 2013年12月11日
エリア: アジア
 11月18日、施政方針演説をした朴大統領 (C)AFP=時事
11月18日、施政方針演説をした朴大統領 (C)AFP=時事

 昨年12月の大統領選挙で朴槿恵(パク・クネ)候補が当選して1年になろうとしているが、韓国政治は大統領選挙での国家情報院職員らの組織的な選挙介入疑惑、2007年の第2回南北首脳会談での盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の北方限界線(NLL)関連発言やその議事録保存問題などでの与野党対立構図から抜け出せず、政権運営が停滞している。朴槿恵政権は、韓国内では、対北朝鮮政策を含め対米、対中など外交で国民から高い支持を得ている。それに比べ、内政面では選挙公約で掲げた福祉政策の見直しを迫られるなど苦闘が続いている。今回の通常国会では12月2日段階で、まだ1本の法案も成立していない。国情院職員らの選挙介入疑惑への特別検事制導入を要求する野党との対立局面が解けず、政治が停滞したままだ。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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