東電・数土新会長に求められる「桜田武」の気骨

執筆者:安西巧 2014年1月14日
エリア: アジア
 気概に富む財界人だった桜田武 (C)時事
気概に富む財界人だった桜田武 (C)時事

 2013年、日本経済はアベノミクス効果で株価や企業収益にフォローの風が吹いたものの、雇用や鉱工業生産など実体的ファクターの動きはまだ鈍い。「金融緩和」「財政出動」に続くアベノミクスの第3の矢とされる成長戦略の要の 「規制改革」がさっぱり前に進まず、低金利とふんだんな公共事業が支える景気の危うさを内外のエコノミストが指摘し始めている。本来、政府に規制撤廃を働きかけるのは経済界の役目である。膨張する公権力を牽制しながら、企業が自己責任原則の下で自由な市場で競い合うのが多くの財界人に共通する保守本流の経済思想なのだが、昨今のわが国では「破綻防止」「成長戦略支援」などを名目に公的資金をバラまく「機構」という名の政府機関が増殖している。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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