深層レポート 日本の政治 (186)

第3次安倍改造内閣:「石破・岸田留任」の読み方

2015年10月14日
エリア: アジア

 安倍晋三首相は内閣改造前日の10月6日の記者会見で、改造方針について、「奇をてらうのではなく、しっかりと結果を出せる内閣にしていきたい」と述べた。一部マスコミはこの発言を受けて、新内閣を「奇をてらわ内閣」と呼んだ。実際、新内閣の顔ぶれをみると、新味はない。

目玉人事は?

 19閣僚中、10人が入れ替わったとはいえ、主要閣僚はほとんど交代しなかったのに加え、自民党役員もそのままだった。野党は「特段驚きもない。守りに入っている感じがした」(牧義夫・維新の党国対委員長)と反応したが、当然だろう。改造日当日の報道もそれほど盛り上がらなかった。ただし、内閣改造はマスコミをにぎわすためにあるのではないのだから、それはそれでかまわない。
 一応の目玉人事としては、加藤勝信前官房副長官を新設の「1億総活躍」担当相に据えたことなどがある。政策的には安倍首相の「経済最優先」の掛け声のもと、アベノミクスの「新3本の矢」の実現を目指していく。その先に見据えているのは、来年夏の参院選と、時期は未定だが次の衆院選だろう。
 安倍首相は2012年12月の就任以降、しばらくの間は、得意の外交・安全保障政策を封印し、靖国神社参拝も控えた。その半面、経済政策には力を入れ、高い支持率を誇った。その後、昨年7月に集団的自衛権の行使容認を閣議決定してからは安保政策に傾倒し、一気に今年9月の安全保障関連法成立まで突っ走った。だが、これによって支持率は下降気味である。
 9月19日未明の同法成立を受けた大手紙の世論調査では、予想されたほどには支持率は低下しなかったし、国会の混乱の責任が野党にあるとの回答も多かった。ただ、それでも政策面を問う設問をみると、やはり安倍内閣の安保・外交政策はあまり支持されていない。安倍首相は、今後の国政選挙を勝ち抜くためには、経済政策に力を入れざるを得ない状況にある。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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