債務超過寸前「東芝決算」を左右する「原発」「医療機器」「会計事務所」

執筆者:磯山友幸 2016年2月12日
エリア: アジア

 巨額の粉飾決算の後遺症に揺れる東芝が2月4日、四半期決算の発表で、2016年3月期の最終赤字額を7100億円に下方修正した。もちろん同社としては過去最悪の赤字。自己資本(株主資本)はわずか1500億円まで減少する見通しで、債務超過目前の崖っぷちに立たされる。株価も急落、35年ぶりの安値圏で推移している。

 電力・社会インフラ部門などで市況の悪化による減損処理を実施したことや、半導体事業での在庫の評価減などが主因としている。だが、要は過去からの甘い資産評価などによって一気に損失処理を迫られているのだ。記者会見した室町正志社長は、「来年度からのV字回復を図るため、今年度にウミを出し切る」と強調したが、懸案の米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)の「のれん代」約3440億円は減損の必要がないとして手つかずのまま残されている。

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執筆者プロフィール
磯山友幸(いそやまともゆき) 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト活動とともに、千葉商科大学教授も務める。著書に『2022年、「働き方」はこうなる』 (PHPビジネス新書)、『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、『破天荒弁護士クボリ伝』(日経BP社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)、『「理」と「情」の狭間――大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP社)などがある。
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