
5月3日、憲法改正推進派のフォーラムに向けたビデオメッセージで、改憲について語る安倍晋三自民党総裁 (C)時事
「前項の目的を達するために」という、いわゆる「芦田修正」については、本稿(上)の第1項関係の記述の中ですでに述べた。GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)民政局次長チャールズ・ケーディス大佐はじめ占領軍側から「この修正は当然」と認められたのに日本国内で認められなかったのは、「前項の目的を達するために……保持しない」という曖昧な日本語表現のためであり、また後に芦田自身が、「あれは当然自衛権はある、という意味で挿入したものだ。そのことは小委員会の議事録にも自分の日誌にも記録されている」と説明したにもかかわらず、その記録が発見されなかったためでもある。爾来、日本政府もこの芦田修正を「自衛権容認」の証拠として使ったことはない。

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