「人手不足」と外国人 (15)

技能実習「新法」でも変わらぬ「利権構造」

執筆者:出井康博 2017年11月16日
エリア: アジア
制度の「円滑な推進」を目的として成立した「国際研修協力機構」だが…… (HPより)

 

 11月1日、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が施行した。新法施行を報じた大手メディアには、「外国人技能実習 厳正化へ」(10月31日『朝日新聞』朝刊)、「外国人技能実習 適正実施法が施行、人権侵害に罰則」(11月1日『日本経済新聞』電子版)といったように、法律の名称に沿った見出しが並んだ。まるで新法が実習制度の適正化を目指してつくられたような報じぶりだが、目的は別のところにある。「技能実習の適正な実施」や「実習生の保護」を前面に押し出しつつ、制度の枠を広げようとしているのだ。

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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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