国際人のための日本古代史 (98)

【番外編】「謎」はなぜ放置されてきたのか?

新潮新書『神武天皇vs.卑弥呼 ヤマト建国を推理する』刊行記念

執筆者:関裕二 2018年4月27日
タグ: 日本
エリア: アジア
橙色線内が纏向遺跡の範囲(「桜井市纏向学研究センター」公式HPより)

 

 今、考古学はヤマト建国の経過を、克明に描き出そうとしている。3世紀に奈良盆地の南東の隅に前代未聞の巨大人工都市・纒向(まきむく)遺跡(奈良県桜井市)が出現し、方々から人が集まってきたこと、纒向に前方後円墳が誕生し、この新たな埋葬文化を各地の首長が受け入れたこと、流通ネットワークを共有するゆるやかなつながりの連合体(ヤマト政権)が生まれたことが分かってきたのだ。

 考古学が戦後一気に発展した理由は、はっきりしている。新幹線や高速道路網が張り巡らされ、全国でほぼ均等に、考古学の試掘が行われる形となり、無数の遺跡がみつかったのだ。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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