クリントン仲介「ボリス・リュウ」とオバマ反対「ウラジーミル・シンゾー」の違い

1998年4月、静岡県川奈に到着したエリツィン大統領(左)と橋本龍太郎首相(右、いずれも当時)(C)時事

 

 ウラジオストクで9月10日に行われた安倍晋三首相とウラジーミル・プーチン露大統領の22回目の首脳会談は、北方領土問題でまたも進展がなかった。大統領はその2日後のパネル・ディスカッションで、前提条件なしの平和条約を年末までに締結するとの新提案を唐突に行い、日本側を翻弄した。

 首脳会談後の記者発表で、プーチン大統領は領土問題について「短期間で解決できると考えるのはナイーブだ」と強調。パネル・ディスカッションでは「ロシアにとって政治的、心理的に困難かつ敏感な問題だ」と述べ、早期解決の意思がないことを示唆した。島を返した場合に米軍が使用する可能性にも改めて言及している。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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