
1897年、在位60年を迎えたイギリスの「女王」にしてインド「皇帝」ヴィクトリア
イングランドは確かに、突出して特異である。しかしそれは当初、必ずしも強盛を保証しなかった。15世紀の半ばにフランスとの百年戦争に敗れ、まもなくイングランド自体の王位を争奪するバラ戦争も起こっては、衰えは隠せない。「帝国」に君臨し、「フランス王」を併称した君主号とは裏腹に、16世紀のイングランドは、なお弱小国でしかなかった。当のフランス国王もハプスブルク皇帝も、歯牙にもかけていない。小国イングランドの大陸に対するコンプレックスは、なお長く続く。

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