岩瀬昇のエネルギー通信 (111)

東西紛争「リビア」今春総選挙でも混迷深まる「現況」

カダフィ独裁政権が倒れて以後、リビアは東西に分裂した紛争状態が続いている

 

 ロンドンに勤務していた2000年11月、リビアの首都トリポリで国際投資会議が開催された。当時、国際社会から「制裁」を受けていたこともあり、リビアへの入国はきわめて難しかった。少々高い参加費だったが、払って会議に参加すれば入国ビザが発行されるというので、本社および三井石油開発の数人とともに参加した。

 リビアは、乗客・乗員全員259名、付近の住民11名、合計270人の犠牲者を出した1988年の「パンナム機爆破事件」の犯行責任を追及されており、国連安保理では再三の非難決議ならびに犯人引き渡しを要求する決議が行われていた。長いあいだ拒否し続けていたが、引き続く経済制裁の圧力により、指導者カダフィ大佐が犯人引き渡しに応じたのが1999年4月だった。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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