「日米安保破棄」が条件「日露交渉」色丹島に見るロシアの本音

執筆者:名越健郎 2019年3月29日
エリア: ヨーロッパ アジア
色丹での、イワノフ大統領特別代表の会見を伝える国後の新聞『ナ・ルベジェー(国境で)』(筆者提供)

 

 今年1月から本格化した日露平和条約交渉は、ロシア側の強硬姿勢で早くも挫折しつつある。

 ロシアのメディア『RBK』は3月12日、クレムリンに近い筋の話として、「ロシア政府には日本に島を引き渡す計画はない」と報じた。ウラジーミル・プーチン大統領も3月14日、財界人との非公開会議で、平和条約交渉は「失速した」と述べ、「まず日本が日米安保条約から離脱しなければならない」と強調したと報じられた。日米安保条約破棄を交渉の条件にするなら、妥結の可能性はあり得ない。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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