
津波で被災した後、家々が消えた石巻市三ツ股地区=2012年3月26日(筆者撮影)
「お母さんが、すぐにも死にそうなんです」「目を離したら何をするか分からなくて」――。
東日本大震災の大津波が宮城県石巻市を襲った2011年3月11日から2週間後。檀家の犠牲者の枕経に追われていた西光寺(同市門脇町)の副住職、樋口伸生さん(56)は、次の遺族宅で出迎えてくれた息子さんからこう訴えられた。津波を免れた日和山(海抜56メートル)にある住宅地の一角。顔なじみの檀家の両親と、被災して実家に身を寄せる娘たちの家族が待っていた。

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