灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(58)

執筆者:佐野美和 2019年6月29日
自著『雨だれのうた』(昭和22=1947=年刊より。撮影年不詳だが、義江と結婚できた幸せの頂にいたころ)

 義江は自分を師と仰ぐ好きな女性の育成が楽しくて仕方なかった。思いのままに自分の色に染めていくのだ。ひと回り干支の離れた女性と居ることは、自分が若いままでいられるような気もしてくる。最近際立って広くなった自分の額を鏡でみると、若さというものが尊いものに感じられる。

 あきに対する思いは、どうなのだろう。もちろん誰よりも大切な人であり愛していることに変わりはないが、すでに完成された女性であり慈愛深き母のような女性でもある。自分がどんなに駄目な人間であろうと、最後まで自分によりそってくれる女性でもあるのだ。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
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