岩瀬昇のエネルギー通信
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対イランで米国ついに「中国制裁」の効果と影響

航行の安全が脅かされれば日本のエネルギー事情にも重大な影響が出てくる(写真はイメージです)
6月末、米国が「制裁免除」を5月初めに中止してから初めてのイラン原油が中国に輸入された、というニュースが流れた(たとえば『フィナンシャル・タイムズ』=FT=2019年6月26日「China defies US sanctions by tapping Iran oil supply」)。
これが「制裁違反」なのかどうかは不確実だ、として筆者は、本欄に『やっぱりあったイラン・中国「秘密取引」』(2019年6月28日)を投稿した。なぜなら、中国はイランで石油開発事業に参画しており、同事業における取り分が20~30万BD(バレル/日)あるし、日本がサウジアラビアおよびUAE(アラブ首長国連邦)と行っている「産油国共同備蓄」のスキームに似た方式を採れば、イランに所有権を残したまま中国のタンクに大量の原油を貯蔵することが可能で、これらは共に直接的には米国の「制裁対象」にはならないからだ。

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