「中国経済」成長鈍化で「鄧小平テーゼ」の終焉

執筆者:後藤康浩 2019年10月23日
エリア: アジア
開通式には習近平主席も出席して華々しく世界にお披露目した「港珠澳大橋」だが、投下資金は永遠に回収の見込みはない(C)photoAC丸岡ジョー
 

 中国の7~9月期の国内総生産(GDP)伸び率(前年同期比)は、4~6月期に比べ0.2ポイント低い6.0%に低下、遂に6%割れの瀬戸際に追い込まれた。

 中国政府が手をこまねいているわけではない。インフラ投資の拡大、企業減税、金融緩和、消費てこ入れなど政策を総動員しているが、下落を止めることができない。

 理由は単純だ。付加価値と雇用の源泉だった優良な工場が先を争うように海外に移転しつつあり、中国は1990年代後半以降の「世界の工場」から「脱・世界の工場」へと逆方向にスイングしているからだ。

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執筆者プロフィール
後藤康浩(ごとうやすひろ) 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』などにも出演していた。現在も幅広いメディアで講演や執筆活動を行うほか、企業の社外取締役なども務めている。著書に『アジア都市の成長戦略』(2018年度「岡倉天心記念賞」受賞/慶應義塾大学出版会)、『ネクスト・アジア』(日本経済新聞出版)、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(日本経済新聞出版)、『アジア力』(日本経済新聞出版)、『強い工場』(日経BP)、『勝つ工場』(日本経済新聞出版)などがある。
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