ベネズエラが「国連人権理事会」理事国というブラックジョーク

ベネズエラが理事国に選出された日、野党政治家の遺体が発見され、特殊部隊「FAES」による殺害が疑われている(C)AFP=時事

 

「驚いた」というよりは、「やはり」というべきであろうか。

 中南米の周辺諸国や欧米諸国の非難の中で守勢に立たされてきたベネズエラのニコラス・マドゥロ政権が10月17日、国連総会における「国連人権理事会」の改選投票で、理事国の議席を確保したことである。

 中南米地域に割り当てられている8議席は毎年2~3議席ずつ改選されるのだが、2019年7月の国連人権高等弁務官による報告で甚大な人権侵害の実態が明らかにされたばかりにもかかわらず、今回改選を迎えた2議席(これまではブラジルとキューバが保持)をブラジル、コスタリカと争い、105票を得票。ブラジル(153票)には敗れたものの、コスタリカ(96票)をおさえて選出された。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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