岩瀬昇のエネルギー通信
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「OPECプラス」でサウジ提案「追加減産」に「プーチン」の思惑
2014年後半に油価暴落が始まり、大産油国であるロシアの通貨・ルーブルも大幅安に見舞われた。原油・ガスの輸出収入が急減し、そこにルーブル安も重なって、ロシア経済は完全にマヒしてしまった。
だが、ロシアの石油会社の業績はその後も好調だった。
2016年6月に出版した『原油暴落の謎を解く』(文春新書)の中で筆者は、次のように書いた。
〈ロシアの石油会社の収益は、奇妙なことに2014年末以降に原油価格が暴落した後も順調である。もちろんコスト削減の努力もしているが、輸出代金がドル建てであるのに対し、費用は現地産資機材および人件費がルーブル建てであるため、安定した収益をあげている。さらにプーチン現政権下の石油業界優遇策の一つとして、輸出税一部免除の恩恵を受けていることも一つの要因であろう。原油価格50ドルを前提に国家予算を作成しているロシア政府は、2016年4月下旬、世界最大の天然ガス企業であるガスプロムを含む8大国営会社に「利益の50%を配当すること」を法制化したほどである〉
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