「ベネズエラ移民・難民」に揺れるカリブ海の小国「トリニダード・トバゴ」

執筆者:鈴木美香 2021年2月18日
カテゴリ: 政治 社会
エリア: 中南米
食品配布に並ぶベネズエラ移民(C)EPA=時事

 

 2016年10月のベネズエラ危機以降、増え続けている移民・難民の数は、2021年2月5日現在で548万人に上り、その規模はシリア難民に次ぐ。最大の受け入れ国である陸続きのコロンビアには、2020年末時点で173万人が暮らしている。

 しかし、その一方で、海を隔てて15キロの距離に位置する島国、トリニダード・トバゴ(以下、TT)にもベネズエラ人が大挙して押し寄せている事実を知る人は少ない。

 2020年末までにTTで難民申請した約2万人のうち85.9%はベネズエラ人であった。また、2020年9月末現在で難民認定を受けたベネズエラ人は2514人に上る。

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執筆者プロフィール
鈴木美香(すずきみか) 福岡大学共通教育センター外国語講師および亜細亜大学国際関係学部非常勤講師。1980年、東京都生まれ。父親は日本人、母親はフィリピン人。2004年、上智大学大学院外国語学研究科地域研究専攻博士前期課程(修士課程)修了。公益財団法人国際研修協力機構(現 国際人材協力機構)での勤務を経て、2010年10月から2016年12月まで在トリニダード・トバゴ日本国大使館にて、専門調査員としてカリブ10カ国の政治・外交に関する情報収集・分析業務に従事。これまでにカリブ諸国の外交関係や移民問題、フィリピン人出稼ぎ労働者などについてレポートを発表。著書に『トリニダード・トバゴ-カリブの多文化社会』(論創社)、『日本の国際協力 中南米編』(共著/ミネルヴァ書房)。
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