第2次ナゴルノ・カラバフ戦争の「その後」(前編):一人負け「アルメニア」で起きた責任者探しの大混乱

執筆者:小泉悠 2021年3月12日
タグ: ロシア
エリア: ヨーロッパ
失言で窮地に陥ったパシニャン首相(C)AFP=時事
「同盟国」ロシアに見捨てられ、昨秋の第2次ナゴルノ・カラバフ戦争で大敗北を喫したアルメニア。ロシアとの更なる離間を招きかねないパシニャン首相の発言が、軍部と政権の対立激化を呼んでいる。

 

 昨年秋に旧ソ連のアルメニアとアゼルバイジャンの間で勃発した第2次ナゴルノ・カラバフ戦争について、筆者はロシアの地政学的な思惑軍事面でのインパクトを中心に紹介してきた。

 まとめるならば、ロシアはアルメニアとアゼルバイジャンの双方を自国の「勢力圏」に留めるために敢えてアルメニアを見捨てたのであり、こうしたロシアの思惑を的確に読んだアゼルバイジャンは「兄弟国」トルコの支援を受けて勝利を収めたということになろう。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
小泉悠(こいずみゆう) 東京大学先端科学技術研究センター准教授 1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員として2009年~2011年ロシアに滞在。公益財団法人「未来工学研究所」で客員研究員を務めたのち、2019年3月から現職。専門はロシアの軍事・安全保障。主著に『軍事大国ロシア 新たな世界戦略と行動原理』(作品社)、『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国」ロシア』(東京堂出版)、『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(同)。ロシア専門家としてメディア出演多数。
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