“15年前後で「社会主義強国」を建設”という金正恩の「見果てぬ夢」(2)すぐに見直された経済計画

執筆者:平井久志 2021年5月26日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
『労働新聞』に掲載された、党中央委総会の様子。演壇の趙甬元党政治局常務委員(左)が、起立している金頭日党経済部長(右)を批判している(『労働新聞』HPより)
「社会主義強国」となるには、経済力の強化が不可欠。ところが1月に策定した5カ年計画の初年度計画を、わずか1カ月後に作り直す事態に――。

 北朝鮮は1月5日から12日まで第8回朝鮮労働党大会を開催し、1月17日には最高人民会議第14期第4回会議を開き、今年から始まる国家経済発展5カ年計画を策定・採択して、人事でも党と国家の新しい体制をつくった。

党大会1カ月後に異例の党中央委開催

 しかし、党政治局常務委員会は2月6日、党中央委第8期第2回全員会議(総会)を2月上旬に開催すると発表し、総会は2月8日から11日まで開催された。第8回党大会期間中の1月10日に党中央委第8期第1回総会を開催したばかりで、1カ月も経たないうちに党中央委員会を開催することは金日成(キム・イルソン)時代の1988年に1度あっただけという、異例の開催であった。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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