「カジノ解禁7兆円」大手外資に見切られ風前の灯(上)

執筆者:出井康博 2021年6月29日
エリア: アジア
世論調査では反対が多数派。なぜ、これから「解禁」なのか  ©︎時事
カジノ収入は年間1.5兆円、経済効果は7兆円――威勢のいい数字が飛び交った統合型リゾート(IR)開発だが、アジアのカジノ・ブームはとうの昔に終了した。今年10月から来年4月28日までの認定申請期間を控え、誘致希望地域は事業者選定を本格化するが、巨額投資を掲げた外資に参入見送りの動きが相次いでいる。

 東京五輪・パラリンピックは、国民の間に根強い反対の声を押しきり、開催される見通しが強まっている。その陰で、五輪以上に多くの反対がありながら、政府が推し進める政策がある。「カジノ解禁」がそうだ。

 もともとカジノは、東京五輪の開催に合わせ解禁されようとしていた。しかし法整備が遅れ、五輪には間に合わなくなった。そこに昨年以降、新型コロナウイルスの感染が拡大し、カジノを含む統合型リゾート(IR)候補地の選定スケジュールなどにも遅れが生じた。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
出井康博(いでいやすひろ) 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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