人間・習近平の「思考様式」から体制が抱えるリスクを読む

執筆者:宮本雄二 2021年8月18日
エリア: アジア
1966年9月、北京で「毛主席語録」を掲げる紅衛兵ら。文革時代に下放された習近平はそこで党務に就いており、農村で迫害された多くの都市青年とは違う体験を持っている ⓒAFP=時事
忠誠と奉仕に生きた父への敬意は、どこか習近平が国民に求める姿勢に重なってくる。あえてエリートコースを外れて強い信念を築いた習近平だが、一方で中国の政策や行動が、現実よりも習近平の信念に左右されるリスクは見逃せない。これまでのキャリアで縁遠かった外交には、特にその影響が懸念される。

 ものごとは全体像をつかむことで正確な対応が可能となる。外交も同じことだ。相手の国、相手の組織、そして交渉相手を徹底的に分析し、相手の正確な全体像をつかむことが、ベストの結果をもたらす。全体像をつかまなければ、成功に導く戦略や戦術は生み出せない。中国とどう付き合うかを考える場合も同じことが当てはまる。だが中国の全体像をつかむことは簡単ではない。中国のすべての面を理解し、それらを有機的、立体的に再構成して、中国はこうであり、だからこうなると結論づけるのは至難の業なのだ。それほど中国は複雑であり、多面的であり、しかも急速に変化している。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
宮本雄二 みやもと・ゆうじ 宮本アジア研究所代表、元駐中国特命全権大使。1946年福岡県生まれ。69年京都大学法学部卒業後、外務省入省。78年国際連合日本政府代表部一等書記官、81年在中華人民共和国日本国大使館一等書記官、83年欧亜局ソヴィエト連邦課首席事務官、85年国際連合局軍縮課長、87年大臣官房外務大臣秘書官。89 年情報調査局企画課長、90年アジア局中国課長、91年英国国際戦略問題研究所(IISS)研究員、92年外務省研修所副所長、94年在アトランタ日本国総領事館総領事。97年在中華人民共和国日本国大使館特命全権公使、2001年軍備管理・科学審議官(大使)、02年在ミャンマー連邦日本国大使館特命全権大使、04年特命全権大使(沖縄担当)、2006年在中華人民共和国日本国大使館特命全権大使。2010年退官。現在、宮本アジア研究所代表、日中友好会館副会長、日本日中関係学会会長。著書に『これから、中国とどう付き合うか』『激変ミャンマーを読み解く』『習近平の中国』『強硬外交を反省する中国』『日中の失敗の本質 新時代の中国との付き合い方』などがある。
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