国際人のための日本古代史 (138)

スサノヲ篇(1)
なぜ今、スサノヲなのか

執筆者:関裕二 2021年8月29日
タグ: 日本
エリア: アジア
浮世絵の題材としても人気の高かったスサノヲ(月岡芳年『日本略史 素戔嗚尊』)
日本神話上最高のトリックスターでありながら、なぜ正史では蔑視される存在なのか――これまでの常識を覆し、スサノヲを“再発見”する新章、第1回!

 どうしても、スサノヲを書きたかった。古代史のなぞを探りつづけて、多くの秘密をスサノヲが背負っていることに、ようやく気づいたからだ。

スサノヲは正統な神だからこそ邪魔になった?

 神話の主役といえば、誰もがアマテラス(天照大神)を思い浮かべるだろう。伊勢内宮[ないくう](三重県伊勢市)に祀られる女性の太陽神だ。記紀神話の構成も、天皇家のもっとも大切な祖神の一柱に、アマテラスを据えている。

 しかし、日本神話の中で、スサノヲは異彩を放っている。イザナキから生まれた三貴子(天照大神、月読尊、素戔嗚尊)の内の一柱だから、というわけではない。スサノヲは「もっとも神らしい神」なのだ。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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