
文明論を語ったスサノヲ(月岡芳年『日本略史 素戔嗚尊』)
前回は、スサノヲが二面性をもっていること、それは神の中の神だったから、という話をした。神そのものが鬼でもあり、『日本書紀』の中でスサノヲだけが、神本来の姿を見せていたのだ。ただし、『日本書紀』はスサノヲに簑笠を着せて、蔑まれる鬼に蹴落とした。ここに、大きな謎が隠されている。
「浮く宝」が大切と唱えたスサノヲ
今回の話は、スサノヲの「反文明宣言」だ。大陸や半島の先進文明を目の当たりにして、危機感を抱いたようなのだ。天上界(高天原)を追放されたスサノヲが、まず朝鮮半島の新羅に舞い下り、そのあと日本列島にやってきた時の話だ。

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