EVシフトで「2030年にはトヨタ敗北」?  日本車「生き残り」のカギは「ファブレス」にあり

執筆者:村沢義久 2022年2月22日
エリア: アジア
EV では「スモールハンドレッド」の挑戦を受ける(バッテリーEV戦略に関する説明会でスピーチする豊田章男社長=21年12月14日)ⓒAFP=時事
2030年のEV販売台数目標を350万台に上方修正したトヨタ。世界の主要メーカーがEVに大きく舵を切る中で、「ガソリン車の盟主」の動きは注目を集めずにいられない。しかし、そこに勝算はあるのだろうか? 激変するEV時代の自動車業界で、日本勢が生き残るための道筋は――。

 テスラが最初のEV(バッテリー電気自動車)「ロードスター」を発売したのは2008年3月。筆者は翌2009年秋にカリフォルニアで試乗し、その時にEV時代の到来を確信した。

 それ以来、EVに関する情報発信を続けている。この2月には『日本車敗北 「EV戦争」の衝撃』(プレジデント社)という書籍も刊行した。

 その「ロードスター」発売から13年経った2021年には、EV100%化の動きが確たるものとなった。新興ベンチャーに加えて既存の大手メーカーが雪崩を打ってEV化に舵を切り、EVと PHV(プラグインハイブリッド車)を合わせた世界の電動車の新車販売台数も600万台を超えたと推定される。これは世界市場全体の6%に相当する数字だ。

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執筆者プロフィール
村沢義久(むらさわよしひさ) 元東京大学特任教授、環境経営コンサルタント。1948年徳島県生まれ。東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科修了(情報工学専攻)。スタンフォード大学経営大学院にてMBA を取得。その後、米コンサルタント大手、ベイン・アンド・カンパニーに入社。ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン日本代表を経て、ゴールドマン・サックス証券バイスプレジデント(M&A担当)、モニター・カンパニー日本代表などを歴任。2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年まで東京大学総長室アドバイザー。2013年から2016年3 月まで立命館大学大学院客員教授を務める。著書に『日本車敗北 「EV 戦争」の衝撃』(プレジデント社)、『図解EV革命』(毎日新聞出版)、『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』 (文春新書)、『電気自動車』(ちくまプリマー新書)、『手に取るように地球温暖化がわかる本』(かんき出版)など多数。
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