日本の「戦略資産」となる日英伊共同開発「第6世代戦闘機」

執筆者:永田伸吾 2022年12月28日
エリア: アジア ヨーロッパ
日本の次世代戦闘機のイメージ図(防衛省ホームページより)
日本がF-2戦闘機の後継機となる第6世代戦闘機をイギリス、イタリアと共同開発することが決まった。交渉が難航していた米国との共同開発から舵を切った格好だ。経費や技術リスクを削減できるメリットがある一方で、主導権を握れるのかという課題もあるが、日本にとっては同志国との連携や将来的な輸出も視野に入れた「戦略資産」となる。

 

 2022年12月9日、日英伊は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)に関する共同首脳声明」を発表し、2035年から運用する次世代(第6世代)戦闘機を共同開発することを宣言した。日本にとっては米国以外の国と戦闘機の国際共同開発事業を行うのは初めてのことだ。

 第6世代戦闘機とは、米ロッキード・マーチン社のF-35戦闘機に代表される第5世代戦闘機の特徴であるステルス性や高度なネットワーク機能の一層の向上に加え、AIの積極的活用やレーザー兵器、そして無人機との連携(エア・チーミング)といった新たな機能の付与が想定された次世代戦闘機の総称であり、現在各国が開発に鎬を削っている。そして、2035年から40年頃までにF-2戦闘機やユーロファイター・タイフーンという4.5世代戦闘機の後継機を必要とする日英両国も、それぞれが、垂直尾翼と水平尾翼の機能を1つで兼ねる先進的なV字尾翼を備えた大型双発の第6世代戦闘機開発計画を進めてきた。

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執筆者プロフィール
永田伸吾(ながたしんご) 金沢大学大学院社会環境科学研究科博士後期課程修了(法学)。ウィリアム・アンド・メアリー大学歴史学部訪問研究員、成蹊大学アジア太平洋研究センター客員研究員など経て、現在、金沢大学人間社会研究域法学系客員研究員、戦略研究学会編集委員会委員。主な研究分野は、アジア太平洋の国際関係、米ASEAN関係、戦略論、海洋安全保障。最近の論文に、「英国の国際秩序観とそのアジア太平洋戦略:新型空母の展開に注目して」『問題と研究』第49号第3巻(2020年9月、単著)、“ASEAN and the BRI: The Utility of Equidistant Diplomacy with China and the US,” Asian Journal of Peacebuilding, Vol. 7, No. 2, 2019(共著)、「5カ国防衛取極(FPDA)とアジア太平洋の海洋安全保障:防衛装備・技術面での日英協力の視点から」『海洋安全保障情報季報』 第18号(2017年11月、単著)、『国際政治と進化政治学: 太平洋戦争から中台紛争まで』(2023年4月、共著)などがある。
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