
バイデン大統領は副大統領時代にウクライナのNATO加盟を支持する発言を行っている[2月20日、キーウを電撃訪問したバイデン大統領とゼレンスキー大統領](C)AFP=時事
丸1年を経たロシア・ウクライナ戦争は、春から夏にかけての戦況が天王山となり、秋以降は来年の米露両国の大統領選をにらんで、「政治と外交の季節」に入るかもしれない。戦場となったウクライナにとっても、2度目の冬を迎えるのは苦痛だ。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が「今年を勝利の年にする」と何度も強調する背景に、年内に決着を付けたい思惑が透けて見える。
停戦交渉が行われる場合、最大の難関はロシアが支配する領土の線引きと、戦後のウクライナの安全保障をどう確保するかだろう。
ロシアの再度の侵略を防ぐには、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟が最も有効であり、NATO加盟論議が今後、浮上しそうだ。
「賛成」に転じたキシンジャー氏
99歳のヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は1月17日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)にビデオ出演し、ロシア・ウクライナ戦争の解決策について、「境界線を開戦前のラインに戻すべきだ」とした上で、ウクライナのNATO加盟が適切だと指摘した。
キッシンジャー氏は「私は戦争前、ウクライナのNATO加盟に反対していたが、今では加盟が望ましいと考えている。現在の状況では、ウクライナの中立化という考えは意味がない」と述べ、……

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