Weekly北朝鮮『労働新聞』 (9)

「お嬢さま」に言及せずとも存在感はますます大きく(2023年4月16日~4月22日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年4月24日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
4月19日付紙面で報じられた、国家宇宙開発局を現地指導する金正恩党総書記とその「お嬢さま」(左)(『労働新聞』HPより)
2月26日以降直接の言及はなくなったが、重要イベントに出席の様子が報じられ、「お嬢さま」の存在感は大きくなっている。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 4月17日付は普段よりも2ページ多い8面構成となった。金正恩(キム・ジョンウン)総書記出席のもと平壌市内で1万世帯住宅の竣工式が盛大に挙行されたためである。高層マンションを含む一連の住宅は、金日成(キム・イルソン)と金正日(キム・ジョンイル)の遺体が永久安置されている、「主体の最高聖地」錦繍山(クムスサン)太陽宮殿に近い和盛(ファソン)地区に建設された。

 同日付第5面には、「敬愛する金正恩同志が太陽節に際して開催された内閣と国防省職員たちとの間のスポーツ競技を観覧された」との記事も掲載された。PK戦に持ち越されたサッカーの試合では国防省チームが内閣チームに5対3で勝利し、続いて行われた綱引きの試合でも国防省チームが勝利したという。2月17日にも金正日誕生日「光明星節」(2月16日)に際して同様の試合があり、金正恩氏が娘とともに観覧する様子が翌日付で大きく報道されていた。

 今回のスポーツ関連にも娘が同席しているが、その事実は活字に表れていない。……

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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