「安倍派と同じ仕組み」の自民党「東京都連」パーティー券問題、裏金事件の再来か?

執筆者:永田象山 2024年11月25日
タグ: 石破茂
先の衆院選では、裏金問題で自民党非公認となり無所属で出馬した萩生田光一氏の応援に、自民党東京都連の井上信治会長(車上右)らが駆け付けた[2024年10月15日、東京都八王子市](C)時事
石破茂総理は11月28日から始まる臨時国会で、政治資金規正法の改正を通じて「裏金問題」との決別を図りたい考えとされる。その矢先、自民党東京都連におけるパーティー券収入の不記載が報じられた。旧安倍派などの裏金問題が発覚し自民党が窮地に追い込まれたのは、ちょうど1年前のこと。当時から党内では「都連にも安倍派と同じキックバックの仕組みがある」とささやかれており、これが事件化すれば政権にとって大打撃となる。

 自民党旧安倍派、二階派などの派閥の裏金事件捜査が佳境を迎えていた今年の初め頃、ある自民党関係者が筆者にこんなことを言っていたのを覚えている。

自民関係者「安倍派だけじゃないよ。検察は都連のパーティーも調べている。事件化するかもしれないよ」

 結局この時は、都連(自民党東京都支部連合会)を巡るカネのやりとりは事件化しなかったのだが、その後も自民党を問わず政界の関係者からは「都連」の話を度々耳にすることになった。

自民党議員「都連でもパーティー券のノルマがあって、金額は当選回数や閣僚経験などを加味して1人100万から200万くらい。国会議員だけでなく都議会議員が集める金も加わるわけだから、膨大な額になるよ」

 確かに自民党東京都連は所属する国会議員も多く、パーティー券を購入する企業もたくさんあることから、安倍派などと同様にパーティー券の不記載等による裏金化を引き起こしうる素地は十分にあると考えられていた。

自民党は検察の動きを注視

 こうした中、11月22日の読売新聞が社会面で気になるニュースを報じた。

「自民都連 330万円不記載か」という見出しの記事によれば、自民党東京都連が2023年1月に開催した政治資金パーティーで「20万円を超えるパーティー券を購入した4政治団体の名称や金額が記載されていない疑いのあることがわかった」という(※読売新聞は24日、「3政治団体」「258万円」に報道内容を訂正)。

 23年1月当時の政治資金規正法では20万円を超えるパーティー券を購入者した者の氏名などの情報公開を義務づけている(27年1月以降は公開基準を5万円超に引き下げる)。また指摘された3つの団体のうちの1つ、万博担当大臣などを務めた若宮健嗣前衆院議員(先の衆院選で落選するも、11月19日付で防衛大臣補佐官に任命)が代表を務める「若宮けんじ後援会」では、200万円を都連の政治資金パーティーの会費として支出していた。

 政治資金規正法では1度のパーティーに150万円を超える支払いを禁じていることから、法令違反の可能性も出てきた。読売に続いて複数のメディアが同様の内容を報じた。

自民都連関係者「都連が収入の内訳(購入者)を記載していなかったということなのだろうが、これだけの情報なら訂正で済んでしまう話ではないか。検察はもっと深い事情を知っているのだろうか」

 都連としては検察の今後の動きをしばらくは静観するしかないというのが実情のようだ。

臨時国会が再び「裏金国会」になる可能性も

 1年前の今頃のことを思い起こしてみたいが、派閥の裏金事件が表面化したのが去年11月のことだった。そして12月には当時の岸田文雄総理が安倍派幹部の「5人衆」=松野博一官房長官、萩生田光一政調会長、西村康稔経済産業大臣、世耕弘成参院幹事長、高木毅国会対策委員長(いずれも肩書は当時)をはじめとする派閥所属議員の大臣や党役員ポストをすべて剥奪。また東京地検特捜部が安倍派、二階派への強制捜査に乗り出した。

 この一連の流れを振り返ってみると、都連に関しても今回のニュースが捜査の“号砲”であるとすれば、タイミング的には去年とほぼ同じ時期といえる。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
永田象山(ながたしょうざん) 政治ジャーナリスト
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