「選挙イヤー2024年」を締め括る韓国大統領の“乱心”

Foresight World Watcher's 3Tips

執筆者:フォーサイト編集部 2024年12月7日
タグ: 韓国 シリア
エリア: アジア 中東
“ポスト尹”の韓国についても懸念する声は多い[非常戒厳宣言の解除後、初めて公の場で発言した尹・韓国大統領の談話をテレビ中継で見る人々=2024年12月7日、韓国・ソウル](C)EPA=時事

 今週もお疲れ様でした。12月3日夜に尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領が宣布した「非常戒厳」は世界に衝撃を与えました。大統領弾劾訴追案はいま現在(7日19時)、韓国国会で審議中です。当初はスタンスが揺れた与党が反対でまとまり、弾劾訴追案は否決されると見られますが、可決に必要な造反者はわずか8人。与党が惨敗した今年4月の総選挙の結果が、政権に重くのしかかっている格好です。

 7月に総選挙が行われたフランスでは、紆余曲折を経てようやく成立した少数与党のバルニエ内閣が今月5日に総辞職、左派・右翼の連携がその引き金をひきました。10月の総選挙を経て少数与党内閣として出発した日本の第2次石破政権は言うに及ばず、議会との対立(あるいは緊張関係)が各国政治を不透明要素として揺さぶります。

 世界各国で重要な選挙が続いた「選挙イヤー」も残すところあとわずか、2025年はその結果がもたらす作用・反作用が、各国で顕在化することを予感せずにはいられません。中東ではシリア情勢が大きな動きを見せています。第2次トランプ政権は「ガザ+シリア」の複雑な中東方程式をどう解くのか。これもまた、「アフター・選挙イヤー」の国際情勢に浮上する大きなテーマになりそうです。

 フォーサイト編集部が熟読したい海外メディア記事3本、皆様もよろしければご一緒に。

[IT'S DEBATABLE]Are Democracies Doomed to Gridlock and Dysfunction?【Emma Ashford、Matthew Kroenig/Foreign Policy/12月5日付】

エマ・アシュフォード「米国の同盟国すべてに同時に憲法上の危機が起こらないよう求めるのは、あまりにも無理な注文でしょうか?」
 
マシュー・クローニグ「ええ、人々は米国の分極化を指摘するのが大好きですが、ワシントンが政治の機能不全を独占しているわけではありません。今週はフランスで[内閣]不信任案が可決され、韓国では戒厳令が宣言されてその後、撤回され、ジョージアでは広範囲にわたる反政府デモが起きました」

 わずか1週間ほどの間に、国際社会に波紋を投げかけるニュースが続いた。米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌のコラムニストであるアシュフォード(同スティムソン・センター上級研究員)とクローニグ(同大西洋協議会スコウクロフト戦略安全保障センター副所長)は、同誌サイトの時事対談シリーズ「IT'S DEBATABLE」の最新回、「民主主義国家は行き詰まり機能不全に陥る運命なのか?」で驚きと戸惑いを語り合う。

 シリアの反体制派の支配地域拡大(後述)やジョージア政府がEU(欧州連合)加盟交渉を停止したことに対する大規模デモなどのみならず、政治的に安定しているはずの先進国でも民主主義を揺るがす事態が続いている。

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カテゴリ: 政治
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