国防省談話で「トランプ政権」を批判、外務省談話では「非核化は非現実的」(2025年2月16日~2月22日)

2月22日付第3面に、第2次トランプ政権を名指しで批判する記事が掲載された。「敵どもの戦略的脅威には戦略的手段で対応するだろう」と題した北朝鮮国防省公報室長名義の談話である。「トランプ」への言及は1月22日付で大統領就任の事実を短く報じて以来であるが、今回の談話における批判の矛先は「トランプ政権」(原文は「トランプ行政府」)であって、ドナルド・トランプ大統領個人ではない。
北朝鮮の安全保障環境を脅かす「米国とその追従勢力の軍事的挑発行為」がますますひどくなっている、との内容であり、米韓による合同空中訓練や射撃演習などが批判された。北朝鮮の核抑止力と米国の「覇権のための」核兵力は異なると主張し、「米国の典型的なヤンキー式傲慢性と鉄面皮で強盗的な二重基準論理」は通用しない、と表現された。「ヤンキー」はたまに使われるが、「米帝」よりは頻度が低い。
先立って18日付は、「神聖なわれわれの国権と国威に挑戦しようとする時代錯誤的でつまらない企図は自滅的な結果を招くことになろう」と題する外務省代弁人談話を掲載していた。
米日韓が「集団的対決と衝突を鼓吹」しているとして、その「冒険主義的妄動」に重大な懸念を表明し、北朝鮮の非核化は「実践的にも、概念的にもいまやとうてい不可能で非現実的」であり、「古びて荒唐無稽な計画」だと批判するものであった。非核化を追求することは、「無地蒙昧な原始人が現代人に原始社会に逆戻ることを懇請するのと同様であり、世人の驚きと唖然さをかきたてる愚かさの極みだ」という。その意図はともあれ金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長自身が「非核化」を口にしていた時節があったことを想起させる内容であった。
談話では、「米国とその追従勢力による敵対的脅威が存在する限り、われわれにとって核はすなわち平和であり主権であり、国家憲法が付与した正当防衛手段である」との従来主張も繰り返された。
金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の誕生日(2月16日)を意味する「光明星節」は、昨年2月17日付を最後に一切使用されなくなっていたが、1年間のブランクを経て今年2月15日付から突然再び使われ始めた。

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