中東―危機の震源を読む (60)

「知識・政策を売る」見本市ワシントンを歩く

[ワシントン発]ワシントンDC滞在も二カ月目である。中東関係の研究機関や団体への訪問を繰り返し、中東政策論が作られる場を肌身で感じようと試みている。 ワシントンへの中東をめぐる情報の集まり方は圧倒的である。「連日」の「朝昼晩」に、必ずどこかで中東関連の催しが行なわれている。米国各地の主要大学や、英国、中東諸国から主要な研究者が訪れてセミナーや会議で講演し、知識や政策を「売る」見本市のような場所である。多くは一般公開なので、なるべく足を運ぶ。講演者だけでなく、それぞれの場所にどのような人が現れ、どのような議論や私語を交わしているか、いわば「人類学調査」を行なうのが滞在の目的である。

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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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