饗宴外交の舞台裏 (76)

駐日外交官の妻となった日本女性たち

執筆者:西川恵 2004年5月号

 雨に煙る早稲田大学の大隈講堂で、三月二十二日、二月末に亡くなった早大名誉顧問の故大隈信幸氏(享年九十三)のお別れの会がしめやかに催された。 同氏は早大創設者、大隈重信の孫で、戦後、貴族院議員、参議院議員を経て、一九五三年に外務省に入省。駐ウルグアイ公使、駐ガーナ大使、駐コロンビア大使を歴任した。白井克彦総長が「早稲田大学は、私どもが敬愛してやまない創立者大隈重信先生と大隈家なくしては存在しえませんでした」とあいさつし、三年後の大学創設百二十五年を見ずに逝った故信幸氏を惜しんだ。 校旗が捧げられ、早大応援団による荘重な「都の西北」が講堂を満たした。質実で心のこもった会だった。先に告別式も大隈講堂で持たれており、早大と大隈家の深いつながりを見せたのである。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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