中東―危機の震源を読む
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混迷続くレバノン 宗派主義体制の岐路に
レバノン政治で混迷が続く。最大の争点は、十一月に任期の切れるラフード大統領の後任の選出である。大統領選出には一院制の議会(国民議会)で三分の二の得票が必要だが、政情は膠着状態で、選出の見込みは立たない。昨夏のヒズブッラー(ヒズボラ)とイスラエルの戦闘でヒズブッラーが政治的勝利を収めた勢いで、親シリア派は議会の三分の一の議席で得られる拒否権を振りかざし、議会であらゆる決定を不可能にしている。大統領と拮抗する権限を有するセニオラ首相と内閣は、ヒズブッラーをはじめとするシーア派の閣僚引き揚げによって正統性の危機に瀕している。

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