中東―危機の震源を読む
(43)
「オバマ大統領」誕生が道徳上の力となる可能性
米国民主党の大統領選挙候補者予備選挙で、バラク・オバマ上院議員がようやく勝利したようだ。もしオバマが本選挙も勝ち抜いた場合、米国の中東政策はどう変わるのだろうか。選挙戦略としての発言と、実際に大統領として実施しうる政策には隔たりがあるだろうから、現時点で有意義な予想はできない。 ここでは一部で議論になっていた「イスラーム教徒としてのオバマ」という問題について考えてみたい。選挙戦を通じて、共和党系・保守派の陣営からは、オバマの父親がムスリム(イスラーム教徒)であったという点が言及されてきた。インターネット上で、チェーンメールなどにより、「オバマは実は熱心なイスラーム教信者である」という噂が巡った。多くの保守的なアメリカ市民にとってはイスラーム教からはテロリズムがもっぱら連想されるという点を突いた中傷だろう。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン