破綻したリーマン・ブラザーズのCEO(最高経営責任者)であったリチャード・ファルド氏は、腕利きトレーダー時代にはゴリラと呼ばれていた。十月三日に最大七千億ドル(約七十兆円)の不良資産を買い取る金融救済法を議決せざるを得ないほど、ある意味で追い込まれた米国下院は、公聴会にファルド氏を呼び出した。主要な論点はファルド氏の高額報酬(二〇〇〇年以降で四億八千万ドル=約四百八十億円)、リスクと損失は納税者に押し付けながら利益だけは懐にというウォール街の仕組み、そして資金の急激な枯渇による破綻への道筋と経営責任との関係の三つだったといってよい。

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