アルゼンチンのフォークランド沖で操業中の台湾の遠洋イカ釣り漁船「厚春一〇一号」がアルゼンチン海軍艦船に拿捕され、海軍基地に曳航されたのは二月四日夜のことである。国連海洋法条約に定められた排他的経済水域である二百カイリ内に入って違法操業を行ったという理由だった。
台湾はアルゼンチンと外交関係がない。第一報を受け取った台湾外交部(外務省)は、首都ブエノスアイレスにある台湾代表部に事実確認と当局との早急の接触を指示した。
外交関係のない国でこの種の事件が起きると、台湾にとっては厄介なことになる。外交ルートがないため、代表部が直接相手国の外務省に接触する訳にはいかないからだ。日本でいえば交流協会のような外務省の外郭団体を通じて接触することになるが、時間もかかるし情報も精度を欠く。

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