「死んだふり」をやめた堤義明に戦く銀行の弱点

執筆者:安西巧 2005年7月号
タグ: 日本

悪評高いオーナーを追いやり思うままに西武グループを再編したい銀行の目論見は、「株主を大事にせよ」の声に押し潰されつつある。「ふざけんなよ」「何も変わってないじゃないかっ」 五月二十四日、埼玉県所沢市。怒号が飛び交う西武鉄道の臨時株主総会で、元みずほコーポレート銀行副頭取の後藤高志(五六)と元JR西日本副社長(元運輸省運輸審議官)の平野直樹(六三)が取締役に選任された。 直後の取締役会で後藤は社長に、平野は会長にそれぞれ就任。太平洋セメント相談役の諸井虔(七七)が委員長を務めた西武グループ経営改革委員会(通称「諸井委員会」)が発足して半年、その諸井委員会がコクドの会社分割やグループ資産売却を含む最終答申を発表して二カ月、西武再生に向けた後藤体制がようやく船出にこぎ着けた。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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