「石油vs.天然ガス」の「代理戦争」だった「盟主」サウジの対カタール断交

カタールの首都ドーハに立ち並ぶ高層ビル群。LNGの賜物だ (C)AFP=時事
サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)など4カ国によるアラブの同胞カタールとの断交は、解決の糸口が見えないまま対立が固定化しつつある。カタールの背後にいるイランとサウジの宗教・外交上の対立、カタールのムスリム同胞団への支援、さらに世界で最も豊かな国の1つになったカタールに対するサウジの嫉みなど、幾つかの背景分析が出ているが、エネルギーの観点では別の構図が浮かび上がる。それは「石油対天然ガス」の代理戦争である。世界最大の石油輸出国であるサウジと、世界最大級の液化天然ガス(LNG)輸出国のカタールが化石燃料の覇権をめぐって争っているとみれば、対立は予想以上に深刻で、長期化するとみるべきかもしれない。

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