饗宴外交の舞台裏 (232)

フランス「大統領夫人憲章」に日本の「首相夫人」も学べ

9月7日、訪問先のギリシャにて、晩餐会でパヴロプロス大統領と乾杯するブリジット・マクロン夫人(右から3人目)(C)AFP=時事

 

 フランスのエリゼ宮(大統領官邸)が8月21日、「フランス大統領夫人の身分に関する透明性憲章」を発表した。ファーストレディーの公的役割と待遇を規定したもので、エリゼ宮によると世界で初めてだという。その狙いとするところは、ファーストレディーにフランスのために働いてもらおうというもので、これは他の先進国に波及する可能性が大いにある。

 大統領夫人であれ、首相夫人であれ、ファーストレディーになりたてのころは誰もが「自分は何をしたらいいのか」と自問し、悩むという。大統領や首相は、その任務と責任が憲法や法律で定められているが、ファーストレディーには何の規定もないのがふつうだから、悩むのが当然といえば当然である。

カテゴリ: 政治 社会 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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